Why We Need Pancreatic Cancer Research Now(2)

「今、なぜ膵臓がん研究が必要なのか(その2)」

Empowering the PC Research Community: Message from Cancer Researcher

がん研究者からのメッセージ

 

 

すい臓がんの研究で原因を解明するような研究がすごく盛んになることが絶対に重要なので、私も本格的にすい臓がんの原因解明の研究をやろうと思う。たくさんの人の力を結集して、難治がんの代表であるすい臓がんをやっつけるような成果を出したいと思う。

国立がん研究センター 研究所長 間野博行

 

 

Empowering the PC Research Community: Message from Health Economist

経済学者からのメッセージ

 

 

1999年すい臓がんの生存率はわずか4%。米国ではすい臓がん研究への投資額を増額し、5年生存率も9%まで跳ね上がった。相当な金額を投資することによって生存率を上げることができると米国のデータが示している。日本でもすい臓がんの問題を解決しようと思えば、一定のボリュームの予算を集中投下することが求められている。

法政大学経済学部 教授 小黒一正

Why We Need Pancreatic Cancer Research Now(3)

「今、なぜ膵臓がん研究が必要なのか(その3)」

Empowering the PC Research Community: Message from Cancer Researcher

がん研究者からのメッセージ

 

 

すい臓がんの研究で原因を解明するような研究がすごく盛んになることが絶対に重要なので、私も本格的にすい臓がんの原因解明の研究をやろうと思う。たくさんの人の力を結集して、難治がんの代表であるすい臓がんをやっつけるような成果を出したいと思う。

東京大学大学院医学系研究科 分子病理学 教授 宮園浩平 

 

 

パンキャン賞と日本人の膵臓がん研究の重要性

『パンキャン賞と日本人の膵臓がん研究の重要性』

 

PanCAN Awards Trophy small

 日本の膵臓(すいぞう)がん領域において顕著な研究をされた研究者に贈るパンキャン賞が2019年度も5名の研究者に贈られました。2012年から始まったパンキャン賞の受賞者は、37名となりました。

がんの中でも特殊な形態である膵臓がんは、長く難治性のがんであり続けています。従来、膵臓がんの研究は、主に米国、欧州などで進められてきましたが、罹患率が米国の倍もある日本での研究の必要性が叫ばれてきました。同じく難治性がんである肺腺がんでは、がん研究が進み、日本人の53%にEGFR遺伝子変異があるが、欧米人では11%しかないことがわかり、アジア人特有の危険因子の存在が指摘されるようになりました。

膵臓がんの罹患率は米国の倍であり、人口が約3倍の米国の膵臓がん罹患者数は57,000人なのに対して、日本では年間40,000人が罹患しています。日本人の膵臓がんに存在する遺伝子変異のパターンを明らかにし、より奏効率の高い治療薬の開発につなげる必要があります。

いま研究者・医療者による膵臓がんのがんドライバー遺伝子の研究を通して、膵臓がんの医療が大きく変わり始めています。

2019年は、米国パンキャン本部より、ChiefScienceOfficerであるLynn M Matrisiane先生が参加されての式典となりました。毎年、パンキャン賞の受賞研究の発表 および 表彰式は、日本膵臓学会大会にて行われています。これから日本人を対象とした「がん研究」を支援し、関係者の皆様のご支援を仰ぎ、日本人に著効する薬剤の開発に繋がる活動を積極的に進めたいと思います。

 

2019年度の受賞者および研究については下記のとおりです。

■パンキャン賞 PanCan Award 受賞者(敬称略)

●Basic Research Award(基礎研究賞)
工藤 篤 
東京医科歯科大学 大学院 肝胆膵外科学分野
研究 「膵神経内分泌腫瘍の予後を決定するバイオマーカーの同定」
研究者URL http://www.tmd.ac.jp/grad/msrg/staff/

 

●Clinical Research Award(臨床研究賞)
大木 克久
静岡県立静岡がんセンター 肝胆膵外科
研究 「膵頭部癌切除例におけるGeriatric Nutritional Risk Index (GNRI)と生存転帰との関連」
研究者URL https://www.scchr.jp/division/liver_surgery/about.html

 

●Young Investigator Awards(若手研究者賞)
・1位
小川 智
京都大学大学院 医学研究科 消化器内科学講座
研究 「膵特異的Setdb1欠損マウスではp53依存性アポトーシスにより膵発癌が抑制される」
研究者URL https://research-er.jp/researchers/view/791293

 

・2位
上野 真行
倉敷中央病院 消化器内科
研究 「サルコペニアが膵癌化学療法患者のQOLに与える影響と早期リハビリ介入の有効性」
研究者URL https://www.kchnet.or.jp/ka23/sr_interview1.html

 

・3位
岡田 哲弘
旭川医科大学 内科学講座
研究 「血漿遊離核酸を用いた膵腫瘍診断」
研究者URLが見当たらないため、旭川医科大学HP
https://amc1nai.net/

 

 

以上、2019年度の受賞者の皆様、おめでとうございます!

 

■参考HP
●これまでのパンキャン賞の受賞者
https://www.pancan.jp/index.php…

 

●パンキャン賞の様子
http://www.pancan.jp/index.php…

 

 

 

 

 

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アドボカシー効果:早期承認・ドラッグラグ解消に向けた署名活動

『治療薬の早期承認・ドラッグラグ解消にむけた活動』

 

2011年からパンキャンジャパンでは、厚生労働省に対して、新薬の早期承認を訴え、要望書を提出してきました。パンキャンジャパンが設立された2006年当時は、膵臓がんに対して有効な薬剤は、ゲムシタビン1剤しかありませんでした。しかも、その薬剤は余命3ヶ月と宣告されていた膵臓がん患者が使えるまでに、米国食品医薬品局(FDA)に承認されてから6年もの長い時間がかかっていました。それでは患者、家族の希望に繋がらないと、パンキャンジャパンでは厚生労働省に新薬の早期承認を打ったえるために署名を集めて提出する活動を始めました

 

図1:すい臓がんには使える薬が少ない。他のがんには10剤あるがすい臓がんには3剤しかない。

 DrugLag1

◆2011年5月30日タルセバ承認を求める 15,402筆の署名を厚労省に提出

2011年5月30日11時、タルセバの早期承認を求め、全国から寄せられた 15,402筆の署名を厚生労働省審査管理課 成田課長に手渡しました。膵がん患者の中嶋憲夫氏、落合誠一氏から患者のおかれている厳しい状況、他のがんでは10剤以上承認されているが、膵がんには2剤しかない現状の説明がなされ、分子標的薬タルセバの一日も早い承認をお願いしました。審査管理課成田課長からは午後の部会にて検討される旨、説明がありました。(写真:署名をつづりを確認する厚労省)

翌日の早朝、NHKニュースから「タルセバ承認の見通し」という報道が流れました。条件付きではありますが、タルセバは無事部会を通過しました。これから様々なプロセスを経て、早ければ翌月にも正式承認の見込みとの報道がありました。この活動の結果、日本で膵臓がんで使える薬剤は、ゲムシタビン、S‐1、そしてエルロチニブと3剤になりました。

 

図2:すい臓がんの薬剤は、米国食品医薬品局(FDA9の承認から日本で承認されるまで6年かかっていた。余命3ヶ月から6か月と宣告されたすい臓がん患者に6年は待てない。ドラッグラグ(PMDA承認までの待ち時間)を解消し、迅速に患者もとに新薬を届けてほしいと2011年から署名活動を行い、合計3回、10万筆以上を厚生労働省に届けて、早期承認を依頼した。

 DrugLag2

◆2013年6月25日フォルフィリノックス、ナブパクリタキセルの承認を求める 31,382筆の署名を厚労省に提出

パンキャンジャパン)は、2013年6月25日、厚生労働大臣 田村憲久氏に要望書「31,382筆」を手渡しました。

本要望書の内容は、日本で5月31日に承認申請が提出された「フォルフィリノックス」、治験中の「ゲムシタビン+ナブパクリタキセル」、ならびに家族性膵癌に著効する「ゲムシタビン+シスプラチン」の一日も早い承認を求める患者・家族の願いです。膵臓がんは、難治性がんの筆頭で、5年生存率は僅か6%、しかも毎年29,000人以上が亡くなるため、がん死因第5位です。また、他の主要ながんには、使える薬剤が10種類以上あるのに、膵臓がん患者が使える薬剤は3種類(ゲムシタビン、TS-1、エルロチニブ)しかありません。一方、米国では9種類以上の抗がん剤が標準的に使われており、進行膵がん患者でも余命2年に手が届くところまで来ていると言われています。日本では平均余命が約1年未満と言われていますのでその倍になります。このような状況を受け、「苦しい膵臓がん治療の現況に救いの手を差し伸べたい」と、全国の膵臓がん患者・家族・遺族・友人・患者会有志・医療関係者・メディア・企業が署名活動に参加してくださいました。この1年余りで、「31,382筆」の署名が集まりました。

 田村厚生労働大臣は署名提出と患者さん・ご遺族からの手紙の読み上げ後に続いた懇談のなかで、膵臓がんにおけるドラッグラグ問題をご理解くださり、これからの厚生労働省の取り組みをご説明くださいました。今回の訪問にあたっては、がん対策推進議員連盟の塩崎恭久衆院議員がご協力くださり、ドラッグラグ解消の重要性について積極的に討論を深めてくださいました。

 

図3:米国の2012年度版すい臓がんNCCN診療ガイドラインには、9剤の薬剤が使われていることがわかるが、日本の患者が使えるのは僅か3剤である。抗がん剤は使っていくうちに耐性ができるので、新しい薬剤に切り替える必要がある。しかし、医療者が使える抗がん剤の数が増えないと患者を救えないことになる。

 DrugLag3

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厚生労働大臣 田村憲久 様

 

 私は愛知県よりまいりました膵臓がん患者の落合誠一と申します。

 膵臓がん患者の8割は手術が出来ず、主に抗がん剤に頼らねばならない状況です。いまは、患者仲間とお互い励ましあいながら頑張っておりますが、あるとき患者仲間がきて、「私に使える薬はなくなりました」と言って、悲しそうな目をして病院を去って行かれました。

 その方とはそれ以来、二度とお会いすることはありませんでした。

 ともに戦ってきた闘病仲間が次々と先立っていかれる現実が後をたちません。使える薬が無くなり追い詰められるのです。

 米国では膵臓がんに10剤程度承認され、使われているそうです!!!!

 それらの薬はすでに日本で承認され、他のがんに日常的に使われています。薬がないのではなく、あるのに使えない・・・・・ 患者としては理解出来ない所です。このような悲惨な実態は、私の中での「誇りある日本のがん医療の姿」ではありません。悔しくてなりません!!!

 本日ここに署名をお持ち致しましたが、この中には抗がん剤3剤を使いきり、治療法が無くなって追い詰められた待ったなしの、全国の膵臓がん患者さんの、すがる様な思いが沢山詰まっております。

 皆さんは固唾を飲んで本日の結果を注目しています。 一刻も早く、一剤でも多く使えるようにし、治療の選択肢を増やして、これからも命を繋いでいけるという、生きて、生きて、生き抜けるチャンスと希望を与えて欲しいと思います。

 それからもう一つお願いがあります。 私は、我が国の膵臓がんに関する研究が、他の部位のがんに比べて大きく遅れていると感じています。いまだに、早期発見ツールもなく、進行した膵臓がんを治す薬もありません。

 「第3次対がん10か年総合戦略」では、難治性がんが重点項目であったにもかかわらず、膵臓がんには僅かな研究費しかつかなかったそうです。膵臓がんは難治がんであり、がんの王様と言われています。この様な厳しい状況を早く改善して行くために、膵臓がんの研究予算を増額していただき、研究者を増やし、国の重点テーマとして今まで以上に力を入れて頂きたいと願っております。

 どうか患者の願いを汲み取って頂きたく、宜しくお願い申し上げます。

平成25年6月25日

落合 誠一

パンキャンジャパン患者諮問委員

 

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厚生労働大臣 田村憲久 様

 私は埼玉県よりまいりました膵臓がん患者遺族の今野喜彦です。

 私は、14歳のときに膵臓がんで母を亡くしました。いまから7年前のことです。

 その当時は、膵臓がんに使えるお薬はひとつしかなく、そのお薬もしだいに効かなくなりました。医師から、「もう使えるお薬はありません」と言われた時の母と父の悲しい顔をいまだに覚えています。

 母は14歳だった私に、伝えたいことがまだたくさんあったと思います、今でも元気で生きていてほしかったと思っています。

 膵臓がんで使えるお薬はいまだに3剤しかありません。

 私たちのような患者家族の悲しみを繰り返さないように、膵臓がんのドラッグラグを解消して使えるお薬を増やしてください。 お願いします。

平成25年6月24日

   今野喜彦

   埼玉県さいたま市

 

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塩崎恭久衆議院議員のコメント
2013/06/26(水) NO.763号 

がん患者の「希望の数」を増やせ

 早期発見が難しく、かつ進行が速いと言われるすい臓癌。日本では毎年推計2万人以上の人がすい臓がんと告知され、30分に1人がすい臓がんで亡くなっているとされている。諸外国ではすい臓がんは減少傾向にあるが、日本だけは増加傾向にある。

 しかし日本のがん医療の現状は、外国に比べ著しく遅れている。例えばアメリカではすい臓がんのための抗がん剤は10剤保険適用されているが、日本ではたったの3剤しか適用されていない。従って患者の方々には事実上抗がん剤治療において、3度しかチャンスはない。

 すい臓がん撲滅のために活動しておられるNPO法人パンキャンジャパンの眞島事務局長の要請も受け、昨日この問題の解消のための要望署名の、田村厚生労働大臣への提出に同席することとなった。集まった署名は31,382通。関係者の方々から集められたこの署名は、一通一通が患者の命がかかった「命の声」だ。

 署名の提出に同行された患者代表の落合さんは、今まさにすい臓がんと闘っておられる現役のすい臓がん患者だ。先日も同じすい臓がんの患者仲間から「私に使える薬はもうなくなった」と言われ、悲しそうな目で病院を去るのを見送ったばかりだという。

 また、同じく同行された、14歳の時にすい臓がんで母を亡くされた今野さんからは、7年前当時は保険適用されている抗がん剤はたったの1剤しかなく、医師から「もう使えるお薬はありません」と宣告された時の母と父の落胆し切った顔が、今なお子供心に残っている、との体験談が大臣に伝えられた。

 冒頭挙げたアメリカのすい臓がんの抗がん剤10剤のうち、日本ですい臓がん治療に使われている3剤を除く7剤は、実は日本では既に全て承認されており、他のがんには日常的に使われている。アメリカで実績が確立し、国内でも特定の部位のがんに使われているにもかかわらず、すい臓がんや他の部位への適用が何年も遅れているのは、明らかに行政の問題だ。薬がないのではなく、単に申請・承認といった行政のプロセスが遅れているだけなのだ。

 大臣面会に同席した担当官は、「患者団体から正式な要望が提出されれば審査はスタートする」と弁明したが、そのためには学会との調整や、煩雑な事務手続きが必要となる。一刻を争う深刻ながんと、一日一日命を刻みながら闘っておられる患者の方にそれをおしつけ、書類が出れば動く、などというのはあまりに酷だ。

 即座に私から大臣に対し、「大事なことは医療行政として、厚生労働省主導で問題解決に取り組む姿勢ではないか」、と強く申し入れた。

 田村厚労大臣からは、新薬加算制度の中で早期申請のためのインセンティブを企業に付与する方策や、厚労省主導で未承認薬・適応外薬問題検討会議に積極的に働きかけていくこと、さらには厚労省の担当課が患者会へ、受け身ではなく能動的に、どのような方法があるかをアドバイスする体制を整えること、などの対応方針の提案があった。

 はじめに書いたとおり、すい臓がんの進行は速く、がんと闘う彼らを支えるためにも、この問題の対策は一刻を争う。治療の選択肢はそのままがん患者が闘うための希望の数となる。私もこうした問題解決に向け、全力で頑張りたい。

 

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今回の新薬の承認は、一日も早い承認を求める署名活動にご協力いただいた大勢の皆様、ならびに我が国のドラッグラグ解消にむけ、これまで未承認薬問題解決に取り組まれ、ご尽力くださった様々なお立場の方々のお陰です。心より感謝申し上げます。 

 

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