パンキャン賞と日本人の膵臓がん研究の重要性
『パンキャン賞と日本人の膵臓がん研究の重要性』
日本の膵臓(すいぞう)がん領域において顕著な研究をされた研究者に贈るパンキャン賞が2019年度も5名の研究者に贈られました。2012年から始まったパンキャン賞の受賞者は、37名となりました。
がんの中でも特殊な形態である膵臓がんは、長く難治性のがんであり続けています。従来、膵臓がんの研究は、主に米国、欧州などで進められてきましたが、罹患率が米国の倍もある日本での研究の必要性が叫ばれてきました。同じく難治性がんである肺腺がんでは、がん研究が進み、日本人の53%にEGFR遺伝子変異があるが、欧米人では11%しかないことがわかり、アジア人特有の危険因子の存在が指摘されるようになりました。
膵臓がんの罹患率は米国の倍であり、人口が約3倍の米国の膵臓がん罹患者数は57,000人なのに対して、日本では年間40,000人が罹患しています。日本人の膵臓がんに存在する遺伝子変異のパターンを明らかにし、より奏効率の高い治療薬の開発につなげる必要があります。
いま研究者・医療者による膵臓がんのがんドライバー遺伝子の研究を通して、膵臓がんの医療が大きく変わり始めています。
2019年は、米国パンキャン本部より、ChiefScienceOfficerであるLynn M Matrisiane先生が参加されての式典となりました。毎年、パンキャン賞の受賞研究の発表 および 表彰式は、日本膵臓学会大会にて行われています。これから日本人を対象とした「がん研究」を支援し、関係者の皆様のご支援を仰ぎ、日本人に著効する薬剤の開発に繋がる活動を積極的に進めたいと思います。
2019年度の受賞者および研究については下記のとおりです。
■パンキャン賞 PanCan Award 受賞者(敬称略)
●Basic Research Award(基礎研究賞)
工藤 篤
東京医科歯科大学 大学院 肝胆膵外科学分野
研究 「膵神経内分泌腫瘍の予後を決定するバイオマーカーの同定」
研究者URL http://www.tmd.ac.jp/grad/msrg/staff/
●Clinical Research Award(臨床研究賞)
大木 克久
静岡県立静岡がんセンター 肝胆膵外科
研究 「膵頭部癌切除例におけるGeriatric Nutritional Risk Index (GNRI)と生存転帰との関連」
研究者URL https://www.scchr.jp/division/liver_surgery/about.html
●Young Investigator Awards(若手研究者賞)
・1位
小川 智
京都大学大学院 医学研究科 消化器内科学講座
研究 「膵特異的Setdb1欠損マウスではp53依存性アポトーシスにより膵発癌が抑制される」
研究者URL https://research-er.jp/researchers/view/791293
・2位
上野 真行
倉敷中央病院 消化器内科
研究 「サルコペニアが膵癌化学療法患者のQOLに与える影響と早期リハビリ介入の有効性」
研究者URL https://www.kchnet.or.jp/ka23/sr_interview1.html
・3位
岡田 哲弘
旭川医科大学 内科学講座
研究 「血漿遊離核酸を用いた膵腫瘍診断」
研究者URLが見当たらないため、旭川医科大学HP
https://amc1nai.net/
以上、2019年度の受賞者の皆様、おめでとうございます!
■参考HP
●これまでのパンキャン賞の受賞者
https://www.pancan.jp/index.php…
●パンキャン賞の様子
http://www.pancan.jp/index.php…
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