すい臓がんについて

■すい臓がんの基礎知識
 
このセクションではすい臓がんの疑いのある方に向けた基礎的な知識について解説しています。
医療関係者の話を聞くとき、あるいはすい臓の病気について相談するときに役立つトピックを選んでいます。
 
 
 
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膵臓(すいぞう)は長さ 15cm、幅 3〜5cm、厚さ 2cm、重さ 60〜70g ほどの細長い臓器です。
胃・小腸・肝臓・脾臓(ひぞう)・胆のうに囲まれています。
 
膵臓は3つの部分からできています。
「膵頭部(すいとうぶ)」
「膵体部(すいたいぶ)」
「膵尾部(すいびぶ)」
「鉤状突起(こうじょうとっき)」と呼ばれる部分は、膵頭部の下に弓なりに曲がっているところです。
 
2つの主要な血管である「上腸間膜動脈」と「上腸間膜静脈」が、鉤状突起を含む膵臓の首の部分を通過しています。
膵頭部は十二指腸に、膵尾部は脾臓に接続しています。
 
 
<すい臓がんの検査を受けた方がいい人>
■次の症状のある人
すい臓がんは初期の段階では自覚症状がほとんどないため、発見することが難しいことが知られています。何も症状がなくても、人間ドックや毎年受ける健康診断で異常がわかる場合もあります。しかし、膵臓がんが進行してくると、次のような、なんらかの症状がでてくる方が多くなります。
 
・糖尿病で血糖値が急に悪くなった。
・おなかが痛い、違和感がある
・背中に痛みがある
・急にやせてきた
・黄疸がでた
・膵炎になった
 
このような症状がでてきた方はすぐに受診して、検査を受けることが推奨されます。
 
①糖尿病新規発症
・急に血糖値が悪くなった方で精密検査を受けて膵臓がんが見つかることがあります。膵臓はインスリンという血糖値を下げるホルモンを分泌していますが、膵臓がんができるとインスリンの分泌量がさがり糖尿病が悪化します。
・膵臓がん患者の既往歴で一番多いのが糖尿病です。日本膵臓学会の膵癌診療ガイドラインでは、26%の膵臓がん患者には糖尿病の既往歴があったと報告されています。さらに、糖尿病に罹ってから1~3年以内に膵臓がんになる頻度が最も高いことから、新規に糖尿病に罹った方は膵臓がんの検査を受けることが推奨されています。
 
②腹痛
・膵臓にがんができると膵臓のなかを通る主膵管が詰まることがあります。膵液がせき止められると主膵管が拡張し、時には膵炎が発生し腹痛になります。この主膵管拡張は、膵臓がんの診断につながる重要な所見のひとつです。
 
③黄疸
・肝臓で作られた胆汁は、総胆管を通って十二指腸に流れています。肝臓から膵臓の頭部を抜けて十二指腸に流れていく総胆管が膵臓がんにより圧迫されると胆汁の流れがさまたげられ、全身が黄色になります。白目の部分が黄色になる、かゆみ、尿の色が黄色になるなどの症状がでた場合は、すぐに精密検査を受けるようにしてください。
 
④体重減少、食欲不振
・膵臓にがんができることで、膵液の流れがわるくなり、食べ物を消化する力が弱わまり、栄養をとりこめなくなることで体重が減少することがあります。膵臓は胃、十二指腸、大腸などに接していることから、膵臓にがんができるとこれらの接している消化管を圧迫して食事が腸のなかを通りづらくなることがあります。
 
■次の危険因子がある人
・日本膵臓学会の膵癌診療ガイドラインによると、下記の危険因子が複数ある人の場合は,膵臓がんを診断するための検査を受けるよう勧められています。また、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)はそれ自体が癌化することや膵臓がんを合併することがあるので、慎重な経過観察を受けることが進められています。
 
家族歴: 膵癌,遺伝性膵癌症候群
 
合併疾患:糖尿病,肥満,慢性膵炎,遺伝性膵炎,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
 
嗜好:  喫煙
 
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■膵臓がんの検査方法について
・膵臓がんを調べる検査から診断まで時間がかかる、ということをよく聞きます。
・病状の把握し、診断を確定するためには、いくつかの検査を重ねる必要があり、ある程度の時間―1〜2週間の期間は最低限必要だと考えられています。
・これに病院での検査予約の状況などが加わり、期間が前後するかもしれません。
・検査結果は、次の治療をどうするかにつながるため、この時間は必要なものと考え、きちんと検査を受けることが大切です。
 
以下の検査を受けることがあります。
 
①画像検査
膵臓とがんを視覚化するのに役立つことから、膵臓がんの診断に使用される検査には、腹部超音波検査(US)、コンピュータ断層撮影法(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、および場合によっては陽電子放射断層撮影法(PET)などが含まれます。
 
②EUS
膵臓の超音波内視鏡検査(EUS)は、超音波内視鏡を使用して胃の内側から膵臓の画像を作成します。画像を取得するために、超音波消化管ビデオスコープと呼ばれる細い柔軟なチューブ(内視鏡)を食道から胃に挿入します。
 
③生検
テストのための組織サンプルの採取(生検)。生検は、顕微鏡で検査するために組織の小さなサンプルを採取する手順です。ほとんどの場合、組織はEUS中に内視鏡に特殊なツールを通すことによって収集されます。頻度は低いですが、組織のサンプルは、針を皮膚から膵臓に挿入することで膵臓から採取されます(細針吸引)。
 
④血液検査
医師は、膵臓がん細胞から放出された特定のタンパク質(腫瘍マーカー)について血液を検査する場合があります。膵臓癌で使用される1つの腫瘍マーカーに糖鎖抗原CA19-9と呼ばれるものがあります。がんが治療にどのように反応するかを理解するのに役立ちます。まれに膵臓癌のある人でもCA19-9レベルが反応しない場合もあることから複数の指標が使われます。
 
■膵臓がんのステージ(病期)について
医師は、膵臓がんの診断を確認すると、次にステージ(病期)を決定します。膵臓がんのステージは、0からIVまでのローマ数字で 日本ではステージ0、IA、IB、IIA、IIB、III、IVの7段階に分けられます。膵臓がんは早期発見が難しいことから、最も多いのがステージIVです。
最も低いステージ0は、がんが回りの組織へ浸潤していない上皮内がんであることを示します。ステージIは、がんが膵臓に限局していることを示します。ステージIIは、リンパ節への転移がみられ、さらに膵臓外へ浸潤していることもありますが、腹腔動脈や上腸間膜動脈には及ばないケースです。腹腔動脈や上腸間膜動脈にまでがんが広がるとステージIII となります。手術ができるのがこのステージまでです。しかし、IV期になると、がんは体の離れた臓器にまで転移して拡がっています。
 
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がんの病期分類システムは進化を続けており、医師ががんの診断と治療を改善するにつれて、より複雑になっています。
膵臓がんの診断についてわからないことがあれば、医師に尋ねてください。また、治療法について疑問がある場合は、セカンドオピニオンを利用してください。
 
 
 
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関連資料
 
◆「患者さんのための膵がん診療ガイドラインの解説」
膵臓がんの診断法 Q 6 膵がんになるとどのような症状が出るのでしょうか?(P16)
 
◆国立がん研究センター 「がん情報サービス」膵臓がん 1. 膵臓について
https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/index.html
 
◆「患者さんのための膵がん診療ガイドラインの解説」
膵臓がんの診断法 Q 6 膵がんになるとどのような症状が出るのでしょうか?(P16)
 
◆膵癌診療ガイドライン 2019 年版 (日本語) 単行本 –
2019/7/18 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会 (編集)
http://u0u0.net/THSP
 
 
 

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